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平成7年度新人賞

柳 幸典 (やなぎ ゆきのり)

  • 受賞対象:造形
  • 研修地:デンマーク / ニューヨーク
  • 出身地:福岡県飯塚市

受賞者プロフィール

プロフィールは受賞時の情報を掲載しております

昭和60年武蔵野美術大学大学院修了。
昭和63年に米国イエール大学大学院のスカラシップを得て、平成2年同大学院美術学部を修了。帰国後一時、武蔵野美術大学で講師として勤務したが、現在は主として制作活動に専念している。

卒業後、ほぼ毎年国内外(東京、福岡、神奈川、香川、米国、英国、スイスなど)で個展を開催する一方、「アート・ドキュメント ’87」(昭和62年:栃木県立美術館、優秀賞)、「廃虚としてのわが家-都市と現代美術展」(平成4年:世田谷美術館)、「ヴェネチア・ビエンナーレ ’93」(平成5年:イタリア)、「戦後日本の前衛美術展」(平成6年:横浜美術館、グッゲンハイム美術館)、「アジアの創造力展」(平成6年:広島市現代美術館)をはじめ国内外で多数に参加し、特にヴェネチア・ビエンナーレではアペルト(新人)部門でスポンサー賞を受賞している。

作品は、生きた蟻を使ったアントファームシリーズや、ネオン管を素材とした立体作品など斬新な仕事によって、社会や個人といったテーマを問いかけ、国際的にも注目されつつある。

本財団助成による海外研修

平成7年6月よりデンマークのルイジアナ近代美術館やニューヨークで研修。

海外研修成果発表のご紹介

柳 幸典 美術新人賞研修帰国記念 個展

PACIFIC 柳 幸典

交通としての海という空間が気になりだしたのは、いつごろからだったろうか。1985年より“交通”“移動”という概念を基本に作家活動をしてきて当然行き着くべき場所ではあったのだが、そのきっかけはたぶん1992年に瀬戸内海の一つの島にある美術館で仕事をした時からではなかったかと思う。日本とアメリカの仕事場を移動しながら制作活動をしている自分にとって、交通の舞台としての海への興味は内海から太平洋へと出て、サンフランシスコ湾に浮かぶアルカトラズ島での仕事(1996年)と沖縄での仕事(1997年)へと至ることになる。
今度の仕事は、太平洋戦争における日本の象徴的軍艦、大和、長門を生んだ瀬戸内海での最初の直観をもとに、品川台場―開国を迫るアメリカのペリー艦隊のインパクトから幕末期に建設された要塞島―を見下ろす場所で一つの形となって現れた。プラスティックのモデルとしてしか知らない軍艦に鉄のイメージを与え拡大してみる時、そこに品川台場から世界最大の巨砲を持つ戦艦大和へと至る歴史の意志と今を考えてみたいと思ったのだ。空っぽの船の中に何を積み込み、何を組み立てて、どこへ向かって舵を取るのか。太平洋の広大な海の底に封じ込められた鉄の遺跡と、その意味するものについて訪ねてみたいと思っている。

柳 幸典 美術新人賞研修帰国記念 造形

日時平成9年12月12日(金) ~ 平成10年1月31日(土)
場所フジテレビ ギャラリー(台場)

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