平成29年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
武蔵野美術大学大学院造形研究科美術専攻油画コース修了
映像、羊毛フェルト、写真などを中心に、複数のメディアを用いて制作、発表。デビュー当時より宇宙空間の移動や未知なものとのコンタクトをテーマに持ちながら、どこか彼方の場所と今いる場所を折り重ね、独自の世界を展開してきた。
作者自身による単純な行為の反復や素材への視触覚的なアプローチを利用して、天文学的視座を交えながら、作品は距離・時間・重力のスケールに対する身体感覚の可塑性を一貫して示している。また近年は個人の作家活動と並行して、同年代の作家との共同企画、演劇とのコラボレーション、自主企画展覧会に天文学者を呼んだトークの開催等、ジャンルや個人を越えた活動も積極的に行う。
主な展覧会として、2012年「虹の彼方」府中市美術館(東京)、2013 年「地上より」GALLERY SIDE2(東京)、2014年「Paper Object Festival」Kalnciema iela(ラトビア・リガ)、2015年「WOW!シグナル」GALLERY SIDE2(東京)、「カメラのみぞ知る」HAGIWARA PROJECTS(東京)、2016年「アートいちはら2016春」、旧里見小学校(千葉)、「断片から景色」アキバタマビ21(東京)、「夕方帰宅してみると」milkyeast(東京)など多数。
2018年2月よりアメリカ・ヒューストンを拠点に研修を開始。アメリカ 各地を訪問し、自身が影響を受けてきたアメリカ現代美術、SETI(地球外知的生命体探査)、宇宙開発における関連施設、SF小説の舞台になった土地を巡る。
また研究所や博物館の視察、天文学者との交流を通し、多角的に他ジャンルとの想像力の接点を検証することで、今後の活動に活かしていく。
私は「境界の越境と消失」をテーマに、ハンドメイドフェルトや写真など、複数の素材を用いて制作を行っています。
海外研修の場所には、アメリカとイギリスの10都市を選び、自身が影響を受けてきたアメリカ現代美術やSF小説の舞台、宇宙開発に関連する地を巡りました。その結果、美術館、博物館、関連施設を計135箇所(ギャラリー除く)訪れることができ、5つのタイムゾーンを移動し、今まで想像上のものだった事象の、鮮やかで生々しい現実の有様を目撃することができました。
短期間の旅行のみでしか日本を離れたことのなかった私にとって、この1年の経験を端的に言い表すことは容易いことではありません。それでも敢えて試みるのであれば、それは「物理的な移動を伴うことで生まれる、新しい想像力の移り変わりや、多様な文化圏で育まれる芸術文化と生活の営みに触れることができた。」と言えるかもしれません。
しかし旅人とは外から訪れ、去っていくものです。私が経験したものや目撃できたものは、外部から覗き込んだほんの一部分でしかありません。また、どんなに計画を立てても、そこで出会う事象を先取りし、コントロールすることはできません。そんな思いを基に、今回の展覧会では日本で古くから遊ばれている折り紙遊びの「だまし舟」をモチーフにしてシリーズ作品を制作しました。
本展タイトルは、「A MAP THEY COULD ALL UNDERSTAND.(誰もがわかる地図)」というタイトルです。これは、 ルイス・キャロルの『スナーク狩り』という物語の一節であり、私が10年前に制作したDear Snarkという作品でモチーフにした白地図について語られた箇所から引用しているものです。
境界という概念を分断や切断としてではなく、連続帯として扱いながら、その越境可能性を取り込んだ、新しい展開をこの研修帰国記念で発表します。
渡辺 泰子
タイトル | A MAP THEY COULD ALL UNDERSTAND. |
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会期 | 2022年7月8日(金)~8月6日(土) |
開廊時間 | 12:00~18:00 |
休廊 | 日、月、祝日 |
会場 | Yumiko Chiba Associates Viewing room shinjuku 新宿区西新宿4-32-6 パークグレース新宿 #206 |
主催 | 公益財団法人東急財団 |
トークイベント | 「スナーク狩り後日談」 |
ゲスト | 神山亮子氏(府中市美術館学芸員) |
開催日時 | 2022年7月16日(土)16:00~17:30 |
会場 | MORETHEN BANQUET/ THE KNOT TOKYO Shinjuku 2F 新宿区西新宿4-31-1 |
申込 | 事前申込制、参加費無料 参加人数、電話番号を明記のうえ event@ycassociates.co.jp まで |