平成8年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
昭和58年佐賀大学教育学部特設美術科卒業。
昭和61年筑波大学大学院芸術研究科絵画専攻修了。筑波大学では石井武夫氏に師事。
昭和63年にロータリー財団奨学生として渡英し、Royal College of Artで2年間研鑽を積んだ。現在はニューヨークと佐賀で交互に制作活動をしている。
昭和62年以来、「Serupan」(東京・紀伊国屋画廊)、「Baku」(埼玉県立近代美術館)、「油彩科一年展」(ヘンリー・ムーア・ギャラリー・ロンドン)、「SOHO展」(アートディレクターズ・ギャラリー・ロンドン)、「名古屋コンテンポラリーアート・フェア」(名古屋市民ギャラリー)、「水戸アニュアル ’95 絵画考-器と物差し」(水戸芸術館現代美術センター)、「視ることのアレゴリー」(セゾン美術館)などに参加、平成8年の「VOCA展 ’96-新しい平面の作家達」(上野の森美術館)ではVOCA賞を受賞。また、平成7年3月にはアキライケダ・ギャラリー(東京・京橋)で個展を開催している。
作品は、ある特定なテーマに基づく固定化されたイメージを再現するのではなく、描く際のインスピレーションの動きに対応し、使用素材もその時点で自分が興味を持った素材の中から選択し、組み合わせて表現するという方法で平面に抽象的な絵画を描く。
平成8年4月よりニューヨークで研修。
東島 毅 自然な絵画
谷藤 史彦(ふくやま美術館学芸員)
東島毅が実現しようと思っているのは、自然な絵画である。山や森に雨が降り、沢に水が集まって大河となり、海に流れて洲がつくられ、風が海を走って波となるような、自然な絵画である。まるで創造主が描いたような自然な絵画である。あるいは「自然な絵画」に近づこうとしている絵画と言ったほうがよいかもしれない。
東島の絵画に表れるのは、形にならない形、線にならない線、色にならない色彩、筆致にならない筆致である。もちろん東島は形を、線を、色を、筆やスプレーで描いていくわけであるが、人為的に見える部分をできるだけ消去しようとする。形や線、色、筆致が白日のもとにさらされることを避け、ある意味で、反語的な描画法になっている。それが、「自然な絵画」、あるいは「自然な壁面」ともいうべきであろう。永い年月のうちに自然にできてきた亀裂やシミのある壁面のような絵画なのである。そこにはわざとらしさというものが見えない。それは空気のようにそこに存在し、悠久の時間のなかで風雪とともに少しずつ変化するのである。つまり、息づいているのである。それを人為的に描こうというのが、東島の絵画なのである。
(寄稿より)
日時 | 平成11年8月23日(月) ~ 9月24日(金) |
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場所 | 第一生命南ギャラリー(有楽町) |