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平成2年度新人賞

樺山 祐和 (かばやま さちかず)

  • 所属:新制作協会所属
  • 受賞対象:洋画
  • 研修地:パリ
  • 出身地:北九州市

受賞者プロフィール

プロフィールは受賞時の情報を掲載しております

昭和60年武蔵野美術大学大学院修了。
以来、同大学造形学部・油絵学科の研究室助手を勤めるかたわら制作活動を続け、新制作展(東京都美術館)を主体に各地の展覧会に出品。
これまでに個展も3回開催している。

本財団助成による海外研修

平成3年1月よりフランス・パリで研修。

これまでの主な受賞歴

1989ジャパン大賞展(東京・洋協アートホール) 佳作賞
1989日本海美術展(富山県立近代美術館) 奨励賞
1989セントラル油絵大賞展(東京セントラル美術館) 佳作賞
1990オギサカ大賞展(東京・洋協アートホール) 新人奨励賞
1990第8回上野の森美術館大賞展(上野の森美術館) 佳作賞

海外研修成果発表のご紹介

樺山 祐和 美術新人賞研修帰国記念 個展

新しい挑戦
桑原 住雄(武蔵野美術大学教授)

樺山のこれまでの作品に一貫して流れている主題は、ある特定の女性の相貌である。その顔を執拗に追う姿勢は見事としかいいようがないが、それはヨーロッパ体験を経ても変わらない。造形的に丸い顔を大きく一つだけ中央に置く単純な方法であり、もともとフラットな志向のつよいものだったのが、向こうで見たギリシャ・イコンやビザンチンの味に惹かれたせいか、顔面はいよいよ単純化され、いわば、理想化されたのもになった。それに加えて、鳥、魚、花、渦状文、日月星辰など、異教的な象徴体系を導入することによって、イマジネーションを一挙に喚起することになった。

新しい試みといえる「沈黙の底」は、それまでの限界を破るべく試みられたものだろう。とはいっても道具だては変わりなく、大小の関係が変化しただけに受けとめられかねない。だが、ここには別種の新しい実験があるように思われる。たとえば、隠すこと、顕すことを交互に、あるいは共時的に作用させるレトリックの採用である。一見したところ、装飾的にも抽象的にもみえて、作者の意図が伝わらないようにも見えるが、クリムトに似たこの実験は、もっと展開させる価値がある。「生まれ滅びる形を、いまに生きる私なりに創っていきたい」という樺山の願いは切実に迫ってくるが、それを形として結実させるのは容易ではない。この気鋭の画家に課せられた課題は大きいのである。(寄稿より)

樺山 祐和 美術新人賞研修帰国記念 洋画

日時平成6年4月20日(水) ~ 26日(火)
場所Bunkamura Gallery

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