平成9年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
昭和62年東京造形大学造形学部美術学科卒業。
大学では非具象表現コースを専攻し、稲葉治夫、故成田克彦両氏に師事。
在学中の昭和60年以降毎年、個展あるいはグループ展で作品を発表する。
平成6年にヒノギャラリー(東京・八重洲)で行った個展で注目され、以後、同年の個展「さまざまな眼64」(かわさきIBM市民ギャラリー)、翌7年の個展「SHISEIDO GALLERY ANNUAL ’95」(資生堂ギャラリー)、グループ展「VOCA展 ’95-新しい平面の作家達」(上野の森美術館)、「視ることのアレゴリー」(セゾン美術館・池袋)、「現代美術への視点-絵画、唯一なるもの展」(平成7年、8年:東京国立近代美術館ほか)などに出品、高い評価を得てきた。東京国立近代美術館での出品作品は、同館に収蔵されている。
作風は米国の抽象表現主義作家に影響を受け、その作品は「下地を施したキャンバスに塗り込まれていく色と色とのせめぎ合いというプロセスの中で、赤と白あるいは赤と緑の図と地が互いに交代する互換性によって、キャンバスに抽象的な色と形が表現される」という不思議な絵である。
ニューヨークを中心に美術館などを巡りながら、制作にも意欲的に取り組み研修。
小林 良一の近作 ―現代の洞窟画
市川 政憲(東京国立近代美術館副館長)
小林は80年代なかばに、絵画の枠組みの中に外部を取り込んだり、シェイプト・キャンバスやパネルを連接させたりと、絵画の外部を意識した制作から活動を始めている。「絵画」という枠組みを揺すってみていた彼は、いずれかの時点で、絵画の「内―外」もひとつの見方、制度でしかないことを思い知ったのではなかったか。小林の姿勢はまさに原始的とさえ言えよう。300号の大作を前にした時、洞窟の中にいるかのように感じたことを記憶する。旧石器時代の先人が、陽のささぬ洞窟内に描いた絵が、見事な外部を出現させたように、あるいは小林の「絵画」は、出口なき虚ろな内側の世界にあっての現代の洞窟画なのかもしれない。
(寄稿より)
日時 | 平成13年6月22日(金) ~ 7月18日(水) |
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場所 | ヨコハマポートサイドギャラリー |