平成3年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
昭和56年東京芸術大学大学院日本画科専攻修了。
稗田一穂氏に師事。
以来、平成2年3月まで成城学園中学で教職に従事。
昭和58年には文化庁の国内研修員に選ばれている。
その間、創画展を主体に制作活動を続け芸大在学中の昭和55年に初入選している。
平成4年2月からイタリア・フィレンツェで研修。
1982 | 春季創画展 春季展賞 |
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1982 | 神奈川県美術展 特別奨励賞 |
1983 | 神奈川県美術展 準大賞 |
1990 | 第1回菅 楯彦大賞展 佳作賞 |
刻の相貌の譜 ― 柳沢正人展
瀧 悌三
5年前、菅楯彦大賞展で佳作賞を受けた時の柳沢正人は、現代のモチーフで現代を描く現代主義だった。佳作賞の作品も、ニューヨーク体験を土台にして、摩天楼、バイク、若者の三重奏。いわゆる複合映像画であった。だが、それからの柳沢正人は、五島記念文化賞を受け、イタリア滞在研修をし、方向一転である。トスカナの田舎町と古都フィレンツェを体験し、ルネサンスの巨人たち、ジョット、マサッチオ、ドナテッロ、ブルネレスキ、ミケランジェロらに見入り、魅せられ、感動の渦に揉まれた。ここには、ニューヨークでは絶対に出会わぬ重いエネルギー充満の歴史がある。柳沢は、その歴史に漬かり、陶酔したのだ。以来、柳沢の意識は、現代の先端の方でなく、過去に発して現代に露頭している古文化、古美術、古建造物の方に向く。過去志向となり、作風も相応に移るのだ。
柳沢正人にとって、その「刻」は、時間・空間の総合、歴史の芯、歴史の本質、歴史の表情。だから歴史に栄枯の劇があるように、「刻」も劇的エネルギーを内包するムード的な何かでなくてはいけない。(寄稿より)
日時 | 平成7年6月19日(月) ~ 24日(土) |
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場所 | 資生堂ギャラリー(銀座) |