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平成27年度新人賞

小瀬村 真美 (こせむら まみ)

  • 受賞対象:映像
  • 研修地:アメリカ・ニューヨーク

受賞者プロフィール

プロフィールは受賞時の情報を掲載しております

東京藝術大学大学院美術研究科博士後期課程美術専攻油画研究領域修了

写真の加工や絵画の構図などを巧みに利用した映像インスタレーション、写真作品を手がけ、国内外の美術展、映画祭で発表を続けている。膨大な写真ドローイングをつなぎ合わせる手法のアニメーション映像作品、そして近年手がける一見絵画のように見える写真作品はそれぞれのメディアが内包する空間や時間を利用しながらもそれを超える視覚表現を追求し、それを視るわたしたち自身の存在の位置を揺さぶってゆく。

主な展示上映は、2004年「MOTアニュアル2004 -私はどこからきたのか/そしてどこへいくのか-」(東京都現代美術館/東京)、2006年「Projected Realities」Asia Society and Museum, NY(アメリカ/ニューヨーク)、「日本×画展」   (横浜美術館/神奈川)、2007年「East of Eden」 Freer & Sackler Galleries(アメリカ/ワシントン)、2008年 「アジアとヨーロッパの肖像」(国立国際美術館/大阪、神奈川県立近代美術館/神奈川)、2009年「International Incheon Women Artists’Biennale」(韓国/仁川)、「Mind as Passion」台北市立美術館(台湾/台北)、2013年「Now Japan」Kunsthal KAdE(オランダ/アメルスフォールト)、2014年「Kuandu Biennale 2014」(台湾・台北)など多数。
これまでの主な作品は、東京都現代美術館(東京)、東京藝術大学大学美術館(東京)、Asia Society and Museum,NY(アメリカ)、Kuandu Museum ofFine Arts(台湾)に収蔵されている。

本財団助成による海外研修

2016年1月よりアメリカ・ニューヨークを拠点とし、写真作品、映像作品を中心に研究、滞在制作を行う。研修中には様々な文化、分野の表現方法の研究と情報収集を行い、自身の作品制作の新しい展開を模索する。わたしの作品はアニメーションという創作性の強い手法を用いながらも、実際にはどの作品もいつも常に現実を写している。新しい視覚と思考を享受し作品に反映させてゆきたい。

これまでの主な受賞歴

1996久米賞 
2001高橋芸友会賞 
2005野村賞(野村芸術文化財団賞)

海外研修成果発表のご紹介

小瀬村 真美 美術新人賞研修帰国記念

2016-17年にかけて、わたしはニューヨークに滞在していた。雲をつかむようなニューヨークでの生活を始めてすぐに、わたしはこの一年は偶然や偶発的に起こることを極力作品に取り込んでいこうと決めた。わたしにとって異質で用途不明なオブジェクトを静物画のモチーフとして使った写真シリーズ《Objects – New York-》では宙に浮くような拠り所のないイメージがどう着地するのかの実験を行い、19世紀に建てられた古いチェルシーのタウンハウスの一室を映像インスタレーション作品にした《Pendulum》は、カメラを「振り子」に見立てて設定した規則的な動きの中に、偶然性やエラー、不具合を取り込んだものとなった。

「判然としないこと」や「不具合」は普段の日常では除外されがちなことである。しかしそれが日常茶飯に起こる生活の中では、排除することよりも、むしろ肯定的に取り込まざるを得ない。目の前の曖昧な存在のものを「これはなにものか?」と考えることは、鏡のように反射し、これを観ているわたしは「どう判断するのか?」さらには「わたしはなにものか?」を問うことにもつながる。そんなことを、聴こえてくるスペイン語のよく分からない熱唱を聞きながらブルックリンのアパートメントでひとり考えていた。

本展では、実在する静物画を模したセットを長期間インターバル撮影 (一定の間隔で連続して写真を撮影)して繋げた初期のアニメーション作品から、ニューヨークで発表した近作に加え、あえて自らの制作過程や制作上の不都合を露にすることで絵画および自作を批評的に再考する新作の組写真 《粧》《餐》などを発表する。

小瀬村 真美

会期2018年6月16日(土)~9月2日(日)
開場時間11:00~17:00
休館日月曜日
料金一般1,100円、大高生700円、小中生500円
会場原美術館
助成公益財団法人五島記念文化財団
協賛原美術館賛助会員

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