平成16年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
昭和63年東京芸術大学美術学部油絵科卒業。
平成2年同大学院壁画研究室修了。
麻生秀穂氏に師事。
平成2年に、狭く深い穴を掘り内側にパラフィンワックスの壁を持つ白い部屋「Mind Space」を制作。心理的な自分の場所や部屋を創ることをテーマに、凍結した湖上、西表島のマングローブ林、砂漠、ヒマラヤ山中などをひとりで歩行して小さな彫刻を創るフィールドワークを繰り返し行う。
平成7年にストライプハウス美術館での個展で、中に入ることの出来るパラフィンワックスの家を造り、以後、同じ素材で家や部屋を造るインスタレーションの発表を続ける。
作品はしばしば白い布の大きなテントと組み合わせ、内部の通路を抜け作品へと至る構造を持っている。このことはひとりで行くフィールドワークでの体験と結びつき、最後に至るのは光で作られた様な白い部屋である。
主な展示は、「超日常-日本現代芸術7人展」(平成10年:上海美術館)、「日韓現代美術展-自己と他人の間」(平成10年:目黒美術館/国立国際美術館/韓国文化芸術振興院美術会館)、「テイストと探究-1990年代の日本美術」(平成10年:ニューデリー国立現代美術館/マニラ・メトロポリタン美術館)、「呼吸する風景」(平成11年:埼玉県立近代美術館)、「アジアのニューインスタレーション」(平成11年:マットレスファクトリー・ピッツバーク)、「ヴァイブレーション-結び合う知覚」(平成13年:宇都宮美術館)、「Temporary・・・」(平成14年:メキシコシティ・エクステレーサ国立現代美術センター)などの多数に出品。個展も平成15年に群馬県立近代美術館で「Mind Space-天窓の光」を行うなど多数開催。
平成16年の10月からアラスカを拠点に研修。
箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中の箱の中に、輝く光の球があった。
アラスカに伝わる神話によれば、最初世界は果てしなく水面の広がる単調な世界で、退屈してしまった父なるワタリガラスが、水中に泥を落として最初の陸地を作った。それはすぐに広がり、新しい場所を見ようと彼は飛び立った。長い旅行の途中、彼は最初の人間を呼び出し、全ての川と湖をもたらし、暗かった世界に光を取り戻した。ある神話によれば、その光は幾重にも内側へと連らなる、入れ子状の箱に入れられ、最も奥の10番目の箱の中から、白く輝く光の球が現れる。高い山の上から、彼が投げ上げた光は、空にとどまり、月となった。
いくつもの箱の中の光。自身で制作したカヤックを使って、ワタリガラスが光を投げ上げたと空想する、フェアウェザー山直下を目指す事。次々と箱の蓋を開けてゆくように、私自身の心理を奥へ辿る事。途上十個の小さな彫刻を作る事で神話と私自身の旅行を重ね、物語を織りなしてゆく事。
毎夜浜辺でクジラの寝息を聞いた。未明の薄明かりの中、石や岩が息ずいているように感じた。私は見る事のできない世界の入り口に立っていて、今も彼が見た夢の中にいるような気がする。
開催日時 | 平成19年4月25日(水)~ 5月31日(木) |
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開館時間 | 10:00 ~ 18:00 |
休館日 | 日・祝休館 |
場所 | GALLERY A4 |
住所 | 東京都江東区新砂1-1-1 |
電話 | 03-6660-6011 |
入館料 | 無料 |
ホームページ | http://www.a-quad.jp/ |
主催 | GALLERY A4 |
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助成 | 財団法人 五島記念文化財団 |
助成 | 株式会社 INAX |