平成9年度新人賞
※プロフィールは受賞時の情報を掲載しております
平成4年東京芸術大学美術学部卒業。
平成6年同大学院修士課程修了。大学院で加山又造氏に学ぶ。
平成6年「柏市文化フォーラム104大賞展」でTAMON賞を受賞し、ニューヨークで6カ月間の自由研修の機会を得た。
平成6年ガレリア・グラフィカbis(東京・銀座)で初の個展を開催。
平成7年ロサンゼルスのモス・ギャラリーで相次いで開催された「L.A.インターナショナル・ビエンナーレ」並びに「アッサンブラージュ&コラージュ展」の出品作家として招かれ参加した。平成8年には「第16回天理ビエンナーレ」「上野の森美術館大賞展」に出品し両展とも入選。同年、ガレリア・グラフィカbisで開催された「’96アニュアル・ショウ」にも招待され、参加している。
作風は、岩絵の具や箔、膠など日本画の伝統的な素材にこだわりつつも、木、紙、鉄、新聞紙、ファウンド・オブジェクト(収集品)などのさまざまな素材を駆使した重厚なマティエールからなる独特な触感的表現を持つ抽象的な平面を構成する。
これまでに伝統的な日本画の技法を学んできたので、今後は西洋の古典絵画・工芸の素材および技法を研究し、現代美術の表現に活かす方途を追求したいと考え、ロンドンを拠点に研修。
中身と外身
長沢 明
ロンドンにいるときに、大英博物館によく足を運び、そこで現在の制作につながる貴重な体験をした。中身は何が書いてあるかわからない何十万冊の本を目の前にして、なにか確信するものがあった。
中身だけでは語り尽くせない、時間を経て残ってきた本たちの存在感。
というのは、<本の内容>がどんなに濃そうであったり難解そうなものであっても、陽に灼けた表紙を持つものや、錆付いたホッチキスが剥きだしになっている今にも崩れそうな<本の形=時の形>そのものには、到底かなわないだろうと僕は実感したからだ。
僕がこだわっているのは、自分自身の手でどれだけの時を作れるかということだ。決して即席(インスタント)ではない。そういう意味では時代に逆行しているのかもしれない。
日時 | 平成11年11月22日(月) ~ 12月4日(土) |
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場所 | ガレリア・グラフィカ(銀座) 村松画廊(銀座) |