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No.240 研究課題 / Project

多摩川中、下流における縄文時代以降の環境変遷と現環境の成立に関わる研究Holocene palaeoenviromental changes in the Tama River Lowland, western site of Tokyo Bay,Japan.

学術研究
Academic Research
No.240
代表研究者
Principal Investigator
杉浦 重夫
Shigeo Sugihara
所属(採択当時)
Affiliation
明治大学文学部教授
Meiji University
研究内容要約
Research Summary
多摩川の沖積層や沖積面下に埋没する地形については、羽鳥ほか(1962)、池田(1964)、建設省計画局(1969)、松田(1973)、海津(1977;1984)、岡ほか(1984)などによって詳しく研究されてきている。松島ほか(1987)は、これら研究成果を踏まえつつ、3本の学術用ボーリングコアを用い、約10,000年前以降の古地形・古環境変遷を総合的に研究した。松島ほか(1987)の3本のボーリングは、いわゆる縄文海進によって海域化された多摩川低地・古多摩湾の湾口部で行われており、古多摩湾の湾奥部については、既存のボーリング資料から推定している。松島ほか(1987)の成果を踏まえつつ、多摩川低地の古環境変遷をトータルに解明するため、古多摩湾奥部、現川崎市高津区子母口小学校で学術用オールコアボーリング及びシンウオールボーリングを実施し、これらについて、火山灰分析、珪藻、花粉化石分析を行った。子母口小の西隣の台地上には縄文時代早期の貝塚「子母口貝塚」が存在する。ボーリング地点の沖積層は、沖積層基底礫層とこれを覆う砂層と厚い粘木層からなる。沖積層基底礫層は基盤を深く刻む古多摩川の谷を埋積している。調査地点付近では古多摩川の谷底は、約-25mに達する。深度7.5mにK-Ahが、深度1.8~1.6mに富士宝永スコリア(1707年噴火)が認められる。珪藻化石分析からは、深度21~18mまでは淡水生種群が最優占し、僅かに海生種群や汽水生種群が混じるが、上位に向けて淡水生種群の全体に占める割合は減少する。河口部の塩水遡上上限域が推定され、沖積層基底礫層を覆う粘土層は縄文海進の影響下で堆積を始めたと推定される。深度7mまでは海生種群が優占し、淡水生種群が僅かにまじり、泥質干潟が古環境として推定される。深度6~5mまでは汽水生種が優占、5mより上位は珪藻化石の産出が悪いが、淡水域と推定される。K-Ahと富士宝永スコリアの挟在から、本調査地点では、縄文海進最盛期直後に、汽水域へと変化したと思われ、調査地点の東側には「自然堤防」が発達することや、深度約7~6mの砂層の挟在などから、この「自然堤防」は砂州であり、海進とともに砂州が発達し、これにより閉塞された汽水域=潟湖が形成されたと思われる。子母口貝塚の放射性炭素年代は約7,700yrs.BPであり、この貝塚は縄文時代前期にはその機能を停止する。子母口貝塚の形成と機能停止は、上記の古環境変遷と調和的である。

Many researchers have been researching on the geographical features about the alluvium of the Tama River. We carried out all core boring for in the Shibokuti child school, and volcanic ashes analysis, diatom fossile analysis and a pollen fossil analysis were done about these to make a change in an palaeoenvironment of Tama River low land clear synthetically. The alluvium of the boring point consists of the sand layers and heavy clay layers which cover the alluvium base gravel layer. The bottom of a ravine of the old Tama River reaches about-25m around the investigation point.
共同研究者
Collaborators
増渕和夫(川崎市青少年科学館)・上西登志子(自然史研究会)・浜田晋介(川崎市市民ミュージアム)

研究全文
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