環境

おしらせ

第11回社会貢献環境学術賞贈呈式を開催いたしました。

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2019年11月29日

2019年度「東急財団第11回社会貢献環境学術賞贈呈式」を開催いたしました。
「第11回東急財団 社会貢献環境術賞」を東京大学大学院農学生命科学研究科 教授 福田 健二氏よりご推薦をいただきました

中国雲南大学 特別名誉教授 公益財団法人 自然保護助成基金 理事 大澤 雅彦 氏に贈呈いたしました。

受賞者 大澤雅彦先生は一貫して、植生を中心とした自然環境と人間社会との関わりについて研究してこられました。先生の業績の中でも代表的なものに、世界の山岳地域における人と自然の関わりに関する生活帯生態学的研究(Life Zone Ecology)があります。 先生は、日本国内はもとより、ヒマラヤ、中国、東南アジアをはじめとする世界各地で、低地から山岳の森林限界に至る現地調査を行い、植生帯の水平および垂直分布構造とその成因を解明されました。すなわち、赤道直下の山岳の標高に伴う植生帯の変化(垂直分布)は、それまで考えられていたような赤道から北極に至る植生帯の水平分布を標高に沿って積み上げたものではないことを、初めて明らかにしました。 熱帯山岳では、標高に伴う気温(積算温度)の低下に応じて植物種が交替しますが、いずれの標高でも常緑広葉樹林となるのに対して、温帯以北では高緯度地域ほど季節変化が大きくなるため、積算温度ではなく冬の低温に対応して、常緑樹林から落葉広葉樹林、針葉樹林という植生帯の変化が起きることを明快に説明されました。

この画期的な知見は、2001 年に始まった国連ミレニアム生態系評価(MA)プロジェクトの最終報告書「第24章 山岳システム」にも引用され世界の生態系サービスとその将来予測の基礎となっています。

生態系保全の主目的の一つ生物多様性保全は、日本では各自治体レベルの戦略策定によって進められています。先生は地元である千葉県において2008年「生物多様性ちば県戦略」策定委員会の委員として「千葉県生物多様性センター」を設立され、現在も千葉県立中央博物館と密接に連携して自治体レベルの自然環境、特に生物多様性保全のために活発にご活動をされています。

「東急財団 社会貢献環境学術賞」は、日本の環境分野(環境保全、環境科学、環境技術など)において学術的、社会的に特に顕著な業績(調査、研究、環境科学技術の発展、行政施策への貢献、実践活動など)を挙げた個人、団体などの研究者を表彰するものであり、この度の大澤雅彦先生の自然環境と調和した持続的な社会の創造に向け重ねてこられた貢献とご実績はまさに本賞の趣旨に合致するものと考えております。

第11回社会貢献環境学術賞贈呈式は、2019年11月29日(金)に東京都渋谷区のセルリアンタワー東急ホテルで開催いたしました。

贈呈会式当日の大澤先生の講演資料はこちらからご覧ください。