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一般研究成果リスト

一般研究詳細

研究課題

多摩川流域(東京都域)におけるハープトラップを導入した森林性コウモリ類相の把握に関する調査研究と音声ライブラリー構築の試み

一般研究 No.224
代表研究者 重昆 達也
所属(当時) 東京コウモリ研究会 代表
研究内容要約

2014年は鳥獣捕獲許可証交付の遅れから、奥多摩町の廃トンネルと青梅市の廃坑各1ヵ所を対象に毎月内部を利用するコウモリ類を調べ、個体数をカウントした。その結果、キクガシラコウモリ、コキクガシラコウモリ、モモジロコウモリおよびコテングコウモリの利用を認めたが、出産・哺育コロニーとしての利用や主たる越冬地としての利用は認められなかった。

2015年は青梅市、あきる野市および檜原村の9ヶ所において、カスミ網とハープトラップを用いた捕獲調査を16回、保護を1回実施した。その結果、キクガシラコウモリ6個体、コキクガシラコウモリ1個体、ヒナコウモリ31個体(うち保護11個体)、モモジロコウモリ5個体およびコテングコウモリ5個体を捕獲した。いくつかの市町村では初記録となった。捕獲頻度が少ないことから単純な比較はできないが、低空を飛翔するタイプのコウモリ類の捕獲にハープトラップの導入効果が見られた。音声サンプルは9個体から得たが、奥多摩山地産の傾向を検討できるほどのサンプル数は得られなかった。

奥多摩山地(東京都域)には鍾乳洞および人工洞が53ヶ所あることが報告されており、そのほかにもいくつかの洞穴が存在している。奥多摩山地の洞穴性コウモリ類の保護・保全を検討するには、こうした鍾乳洞および人工洞におけるコウモリ類の利用状況をまずは丹念に調べあげていく必要がある。本研究は奥多摩山地の洞穴に依存するコウモリ類の動態把握の先鞭になるだろう。

一方、森林内を飛翔するコウモリ類の捕獲調査では、捕獲した46個体に標識バンドを装着した。これらの個体が奥多摩山地内やそのほかの地域で再捕獲されれば、移動範囲や寿命などが解明される。捕獲頻度は決して高いものではなかったが、今後同様の調査を繰り返していけば、奥多摩山地のどこにどのようなコウモリ類が生息しているのか明らかになり、保護・保全上の適切な評価に結び付いてくるものと予想される。また、今回音声サンプルの採集を試みたが、サンプル数が十分に集まれば、将来的には捕獲を伴わずにどのようなコウモリ類がそこを利用しているのか明らかにできるものと予想している。


共同研究者

峰下耕 東京コウモリ研究会

浦野守雄 東京コウモリ研究会/檜原都民の森管理事務所

手塚牧人 東京コウモリ研究会

杉江俊和 東京コウモリ研究会

松山龍太 東京コウモリ研究会/檜原都民の森管理事務所

長谷川紗羅 東京コウモリ研究会/東京農業大学農学部バイオセラピー学科

吉場聖菜 東京コウモリ研究会/東京農業大学農学部畜産学科

小西悦子 東京コウモリ研究会


研究全文