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学術研究成果リスト

学術研究詳細

研究課題

多摩川生息魚類における魚病細菌の分布調査

学術研究 No.313
代表研究者 間野 伸宏
所属(当時) 日本大学生物資源科学部 専任講師
研究内容要約 2012から2013年にかけて多摩川水系の4地点(下流域,中流域,支流域,上流域)で投網や釣獲により計32魚種1631尾を採捕し、保菌・発症検査を実施した。結果として、主にアユにおいて細菌性冷水病(冷水病)やエドワジエラ・イクタルリ感染症(イクタルリ症)が分離され、アユでは6月には冷水病、8月にはイクタルリ症の発症が確認された。また夏季を中心にエロモナス症原因細菌が分離された。イクタルリ感染症は冷水病に比べ魚種毎の病原性に関する知見が乏しいため、アユからの分離菌株を用いて、浸漬法により感染実験を実施したところ、アユ未発症魚分離株でも死魚分離株と同等の高い病原性が認められた。加えて、ギバチやナマズにも病原性を示し、特にギバチには高水温環境下において高い病原性を有する事が明らかとなった。2011年に実施した多摩川における事前調査ではイクタルリ症の発症は確認されておらず、2012および2013年の猛暑による河川の水温上昇がイクタルリ症の発生をもたらしたものと推察された。

本研究は、清流から汽水を含む河口域までの魚病細菌の保菌や発症状況について、四季を通じ明らかにした初めての報告である。得られた成果は、わが国の大部分の中~大型河川にも適用できると考えており、特にこの数年間、わが国で頻発しているエドワジエラ・イクタルリ感染症に対する基礎情報として、関連機関に公開していくことを予定している。同症については、本研究の感染実験の結果からみて、未発症魚が保菌している原因菌も高い病原性を備えており、アユ以外の多摩川生息魚類にも感染性を示す可能性が考えられた。河川における水産資源量の減退要因として、排水や護岸工事等の河川改修に目を向けがちであるが、本研究結果は魚病もその一要因となる可能性を示唆するものであり、今後、関連した啓蒙活動や、より詳細な病原性解析に取り組んでいく必要がある。
共同研究者 竹内久登 日本大学大学院生

平塚元幸 日本大学大学院生

生沼大樹 日本大学学部生

海野芳幸 日本大学学部生

中野大輝 日本大学学部生
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