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学術研究詳細

研究課題

多摩川流域の水生昆虫類の遺伝的構造

学術研究 No.324
代表研究者 倉西 良一
所属(当時) 千葉県立中央博物館
研究内容要約

広域分布種である事、そして卓越した現存量優占種となる日本の水生昆虫を代表するヒゲナガカワトビケラに焦点をあて、多摩川水系に生息するヒゲナガカワトビケラの集団遺伝子構造を多摩川水系30 地点から採集された96 個体のミトコンドリア遺伝子で解析した。
多摩川水系に分布するヒゲナガカワトビケラは、遺伝子からみると大きく4つの集団として認識することができた。第一のグループは多摩川のほぼ全域から出現し、他の遺伝子系統を圧倒していた。この第一のグループは先行研究で「CladeVIII」としていた日本列島(北海道から九州)まで分布していた集団であった。第二のグループは先行研究で「CladeVI」とされており、中流部に局地的に出現し個体数も少なかった。第三、第四のグループが多摩川水系源流部で出現した。これらは先行研究では「CladeIV」「CladeIII」とされ河川上流部にみられる遺伝子系統であり、両系統は本州中央構造線の東西で分布域が異なるとされていたが、本研究では「CladeIII」が従来考えられていた分布域を飛び越えて出現し、「CladeIV」と同所的に出現した場所もあった。
多摩川水系に生息するトビケラ目昆虫について遺伝子解析(ミトコンドリアCO1:バーコード領域)を行った。解析できた種類はナガレトビケラ科9 種、カワリナガレトビケラ科1 種、ヤマトビケラ科3 種、カワトビケラ科8 種、クダトビケラ科1 種、キブネクダトビケラ科2 種、イワトビケラ科1 種、アミメシマトビケラ科1 種、シマトビケラ科6 種、カクツツトビケラ科3 種、ニンギョウトビケラ科1 種、ヒゲナガトビケラ科2 種、フトヒゲトビケラ科1 種、ケトビケラ科1 種で計14 科40 種であった。これら40 種のうちすでにDNAデータベース(DDBJ)に種名で登録されていたのは16 種(この中には分類学的な問題や先行研究の誤同定種を含む)であったが今回の研究で少なくとも新たに24 種登録される。


共同研究者
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