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学術研究詳細

研究課題

多摩川流域における都市部から山間部へかけての生物間相互作用の変異と環境教材開発:植物-送粉者系をもちいて

学術研究 No.308
代表研究者 堂囿 いくみ
所属(当時) 東京学芸大学教育学部自然科学系広域自然科学講座環境科学分野 准教授
研究内容要約 都市化の進行により多くの生物の生育環境が急速に失われつつあり、山間部から都市部にかけて生物多様性が連続的に低下している。生物多様性の低下は、植物と送粉者のような生物間相互作用に影響を及ぼすと考えら、日本最大の都市東京では、都市化の影響が強いと予想される。そこで本研究では、東京の都市部・郊外から山間部に生育するツユクサ(ツユクサ科)集団を用いて、都市化が送粉者量と繁殖形質に与える影響を明らかにすることを目的とした。 野外調査は2012・2013年7~10月に東京都の13集団で行った。各集団で訪花昆虫の観察と花粉持ち出し量、結果率、繁殖形質(花弁サイズ、雌雄離熟の程度(葯と柱頭の距離)、PO比(花粉数/胚珠数)、雄花比(雄花数/開花数))を測定し、都市化の進行が送粉者に与える影響を調べた。その結果、ツユクサ集団から半径250m内の人工地面積が増加すると、訪花頻度が有意に低下した。しかし、都市部の緑地面積が大きい調査地点では、訪花昆虫の頻度が高く、都市部においても生物多様性が保たれていると考えられる。都市部の繁殖形質は自殖型を示すと予想されたが、都市部ではPO比が他殖型を示した(訪花頻度が低くてもPO比が高かった)。また、結実率は都市部で低かった。このことから都市部でPO比が高かった理由として、都市部の主な送粉者コハナバチが他殖を促進していたというより、コハナバチの花粉収集による受粉用花粉の損失が選択圧になっていると考えられる。今後、コハナバチによる送粉効率を明らかにすることで、都市部での植物と送粉者の関係の健全性について検討する必要がある。また、コハナバチが生息する環境要因を明らかにすることで、都市部での植物−送粉者系の保全を考える上で重要な知見を得られると予想される。
共同研究者 丑丸敦史 神戸大学大学院人間発達環境学研究科 教授
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