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学術研究詳細

研究課題

多摩川上流に位置する奥多摩湖の富栄養化に及ぼす釣りレジャーの影響に関する調査研究

学術研究 No.307
代表研究者 牧野 育代
所属(当時) 東北大学環境保全センター 助教
研究内容要約 奥多摩湖の富栄養化に,奥多摩湖および2本の流入河川においてされている釣りレジャーが及ぼす影響を調査した.調査の方法としては,現地調査,水質分析,底泥分析,釣り餌の成分分析,生物試験,DNA試験,および統計解析を用いた.そのうち,生物試験では,主に奥多摩湖への釣り餌の投入の影響を検討した.複数の種類の釣り餌を添加物として,アオコ形成種であるMicrocystis属および奥多摩湖で捕集した野生種の増殖試験を行った.複数の種類の釣り餌に対してMicrocystis属と野生種は増加を見せた.また,DNA試験では,奥多摩湖のアオコ形成種藻類は釣りレジャー施設のある河川由来であるかについて検討した.Microcystis属は奥多摩湖と2本のうちの1河川の全ての調査地点から検出された.一方,Anabaena属は,2本のうちの1河川の釣りスポットのみで検出された.これらの結果と水質分析等の結果を用いて,統計解析による奥多摩湖の富栄養化の原因を検討した.土地利用形態として釣りスポットは特にリン供給の場となりうる可能性が示唆されたが,それに対する釣り行為にそのものによる関与は低いと考えられた.

近年のレジャーブームを背景に,河川敷や湖沼での釣りレジャーが全国的に普及している.本研究で明らかになった釣りレジャーの奥多摩湖への影響は,釣り行為を規制していない全国の水源地帯におけるレジャーのあり方を検討する資料となりうると考えられる.奥多摩湖で捕獲したアオコ形成種藻類は,複数の種類の釣り餌において増殖反応を見せた.つまり,奥多摩湖への釣り餌の投入量によっては富栄養化に基づく現象を引き起こす主要な原因となるため,釣り餌の選定が重要となる.また,流入河川の釣りスポットにおいては奥多摩湖へのリン供給源となる可能性が高いことを示したが,それが釣り行為によるものとは考えられにくかった.釣り人による釣り餌投入以外の関与が十分に考えられ,特に,河川の流水を占用する河川敷の土地利用に注目したところ,そこからの排水がリンを含む栄養塩類の供給に関与していることがわかった.排水は釣りレジャーとは直接的な関係はないものの,観光資源となる水産場からの放流水であった.今後は本研究で明らかになった釣レジャーの現状を考慮した奥多摩湖の水質保全を考えていきたい.
共同研究者 矢作 裕司

大村 達夫

真砂 佳史

風間 聡
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